小児矯正

3歳からはじめるこどもの矯正

不正咬合が見受けられる子どもの特徴(チェックが当てはまるか参考にして下さい。)
  • 唇が荒れることが多い
  • 口が開きっぱなしになっている
  • 鼻づまりが治らない
  • 食事に時間がかかる
  • 固いものを食べない
  • 朝起きてこられない
  • 頬杖を付く癖がある
  • 疲れやすい
  • おねしょがなおらない
  • 寝相が悪い
  • 猫背になっている
  • 扁桃腺が腫れやすい
  • よく風邪を引く
  • 耳鼻科を受診することが多い
  • 口臭がする

子どもが小さいうちから矯正治療を始める目的

口腔を正しく機能させることで最大限の能力を発揮させ、全身成長と健康を育む

近年は口腔内を健康に保つことの重要性を認識される方が増えてきていますが、実際にお口全体は歯や顎、舌や顎間接、租借筋で構成されていて、その全てが正しく機能することで話すことや物を食べる、表情を作り出す基礎になっています。
子どもが成長していく過程で、お口全体の機能が最大限に発揮出来る為に経過を見ながら発育させていくことが重要です。
小さいうちに始める矯正治療は、歯を機械的に動かすだけでなく、口腔機能の回復を促し、歯の疾患(虫歯など)の予防をして最終的に体全体の健康に繋げるという順序で、子どもの健やかな成長を助けていきます。

顔の成長に合わせた矯正治療

顔の骨全体は、頭をおおっている頭蓋骨をはじめ、お口周辺にある上顎骨や下顎骨などが存在し、それぞれ発育の時期が違っています。
上顎の骨は6歳頃までに80%が成長しきるといわれています。その後6歳から10歳頃までは顎の骨の成長は少し減速し、10歳頃から手や足の骨が急速に成長する第二次成長期とほぼ同時期に下顎の骨が急成長します。
個人差はありますが、平均的に顔の骨の成長は女児の場合は14歳前後、男児の場合17歳前後でほぼ止まるようになっています。
このようなからだの成長があることから、子どもの矯正治療はそれに合わせて行う必要があり、10歳頃までの犬歯の萌出までを中心とした発育育成の治療と、その後最終的なかみ合わせを整えていく治療にわけて必要な装置や治療方法が異なってきます。

矯正の負担を減らします

子ども達の顎の骨や歯の成長するスピードは異なります。

矯正治療では、個人に合わせてタイミングを逃さず最適な時期に治療を行っていくことが重要です。
将来出てくる可能性のある問題点を出来る限り早くに予測・把握しておくことで、歯並びやかみ合わせのリスクを減らす為のアプローチが出来ます。
このように早期に取り組むことで、子どもにかかる矯正治療の負担を最小限に抑えることが出来ます。

顎の成長過程で取り組む小児矯正について

早くて3歳ごろからはじめる小児矯正は、顎の成長の過程で取り組むことができるため、顎と歯並びを正しい成長に導くことが可能になります。生活習慣の指導、マウスピースの使用などで負担の少ない治療を行ない、歯並びを改善していきます。
歯並びの乱れを放っておくと、発音に支障をきたす恐れがあるため、乳歯の段階で正しい噛み合わせにしておくことが大切です。また、噛み合わせが悪いと顎が正しく成長しないことから、永久歯が生えてきた時にも噛み合わせが悪くなってしまいます。
指しゃぶりも良い習慣ではありません。指しゃぶりは上の前歯と下の前歯の間に隙間ができる原因になってしまい、呼吸器へも悪影響を与えてしまいます。
小児矯正の治療期間は、歯の状態や治療方法にもよるため個人差がありますが、2〜3ヶ月の場合から1年ぐらいかかる場合があります。

噛み合わせと健康

歯並びが悪いと見た目がよくないだけでなく、凹凸が複雑で歯磨きが難しくなってしまいます。そのため、正しく歯を磨いているつもりでも汚れが取りきれていないことがよくあります。取り残した汚れの中の細菌が、虫歯や歯周病を引き起こす原因になってしまいます。
また、噛み合わせは骨格のズレが原因でなるものもあり、これらのズレが、頭痛や慢性疲労、イライラや不眠の原因になることがあります。さらにかみ合わせが悪いために、発音障害や顎関節症などを引き起こすこともあると言われています。
乱れた歯を正しい歯並びに誘導し、噛み合わせを正すのが矯正歯科治療です。
当院では、小児矯正は歯の並びだけを整えていくものではないと考えています。歯並びと同様に噛み合わせを改善し、お口だけでなく体全体の健康を維持していくことが大切です。

小児矯正の流れ

1.診断

現在の歯並びの状態、顎の骨の状態を、模型やセファロ(矯正用のレントゲン)撮影で確認し、診断します。

2.説明

レントゲン写真とお子様の歯を確認しながら、現状と今後の治療について分かりやすく説明をします。

3.治療

型取りやレントゲンを確認しながら、お子様の状態に合わせた治療を提案します。

装置の種類

急速拡大装置

上顎の骨の成長を促進する装置です。
上顎の成長が遅く歯の並ぶスペースが出来ないと歯並びが悪くなってしまいます。装置を付けて平均1ヶ月~3ヶ月ほどかけて上顎骨を拡げ、その後約半年間後戻りを防ぐ為に装置を装着します。永久歯が生え揃う前から取り組み、歯の並ぶスペースを確保した上で、永久歯が生え揃ったら歯並びを整えるための事前準備として行う治療です。
上顎骨が成長することで、鼻づまり改善など、全身の健康にも寄与します。

FKO

FKOは、取り外しが可能な「機能的矯正装置」の一つで、下顎の成長を促す装置です。
主に下顎が発達しておらず、また、下顎の発達が見込めるお子様に使用します。
1日10時間以上の着用が必要になりますので、就寝時、もしくは学校から帰ってからの着用をすすめています。

ヘッドギア

出っ歯など上顎が下顎に比べて前に出っ張っているケースでは、ヘッドギアを装着します。ヘッドギアは就寝時につけるため、日中の生活では装着する煩わしさを感じずに済みます。
比較的効果の出やすい装置ですが、就寝時に着用するため、お子様が嫌がり勝手に外してしまったり、寝相が悪いと外れてしまったりする可能性もあるので、注意が必要です。

ツインブロック

ツインブロック装置は、FKOと同じく「機能的矯正装置」の一つで、下顎を前方に成長誘導させるための装置です。
上の前歯の噛み合わせが深く、下の前歯が見えない症例にも適応することができます。 上下のプレートが分離された形で口腔内に装着が可能であるため、他の装置に比べて日常生活において支障が少なくて済みます。
しかし、取り外しが可能なため、破損や紛失に十分注意が必要です。また、話しづらいなど慣れるまで時間が必要です。

床矯正

歯を支える骨を少しずつ広げ、歯が正しく生えるためのスペースを確保しながら、歯の移動も行なっていく方法です。顎の骨の成長を妨げないよう、短期間集中で行ないます。患者様自身による着脱が可能であるため、食事、ブラッシングの際は外すことができます。
6歳までに治療をすれば、歯だけでなく、歯を支える顎の骨からの矯正が可能になります。

歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)

6歳から10歳ごろの骨の柔らかい時期に行なうことで、大きな効果を得られる治療です。マウスピース式の矯正装置になり、就寝時と、家にいる時の1時間の装着になります。食事の際に装置を外すことができるので、虫歯の心配などもありません。
噛み合わせ、歯並びだけなく、口腔内の調整が可能であることも特長です。
特に口呼吸をして口をぽかんと開けているお子様は、このマウスピースを着用することにより鼻呼吸へと促すことができます。

小児矯正における注意点

小児矯正をしたから、全て問題がなくなるという訳ではありません。
きちんとした噛み合わせにするために、歯が生え揃ってからの成人矯正が必要になる場合もあります。しかし、成人矯正に移行した場合も、治療期間が通常よりも短期間で済むことがほとんどです。
小児矯正は、やりはじめると中断することができないので注意が必要です。また治療後に装置を外した後も、保定装置が必要になることもあります。まずは医師の指示に従ってください。